これからの時代を、自分らしく、しなやかに生きるための5つ目のちからー「レジリエンス」ー

生活に役立つ心理学

皆さんは、レジリエンスという言葉を聞いたことがあると思います。
ここ数年で、ひんぱんに聞かれるようになりましたね。

レジリエンスの元々に意味は、物理学や工学からきています。
「跳ね返り、弾力、復元力」といった、外からの力が加えられた際に、元の状態に戻ろうとする物体の性質を表しています。

バネを想像すると、イメージが湧きやすいと思います。
バネは、外からの力で伸びたり縮んだりしても、再び元に戻ることができますよね。

元々は物理学で使われていたレジリエンスという言葉が、現在では、私たちがストレスや困難を乗り越えていく力や、回復力を意味する言葉として、使われるようになりました。

とくに心理学においては、レジリエンスは、「精神的回復力」という意味で使われます。
職場や学校、家庭などにおいて、様々な人たちと関わる中で、困難や脅威に直面して強いストレスを感じることは、誰にでも起こりえます。

しかし、例え、そのような状況に置かれたとしても、うまく適応して逆境から立ち直ったり、そこから更に成長して精神的な回復力や心のしなやかさを身に付けることが、私たちにはできるのです。
これが、心理学におけるレジリエンスということになります。

先が読めないこれからの時代を自分らしく生きていく上で、レジリエンスはとても大切な力だということが言えます。

そこで今回は、これからの時代を自分らしく、しなやかに生きるための5つ目の力として、レジリエンスを取り上げたいと思います。

レジリエンス(心の回復力やしなやかさ)が高いと、こんなメリットが。

ここでは、レジリエンスが高いことによってもたらされるメリットについて、具体的な例を示しながらお話します。

①仕事でミスをしてしまい、上司に叱責されたとき。
・作成した資料に間違いがあり、皆の前で、上司から厳しく叱責された。
そのときは、顔から火が出るくらい恥ずかしくて、その場から逃げ出したかった。
家に帰ってからも、そのときのことが頭から離れず、私って本当に駄目な人間だという思いが、頭の中を駆け巡っていた。

→レジリエンスが低いと
「もう無理」「もう限界」「もう辞めたい」と、自己否定の感情に飲み込まれてしまい、精神的に立ち直ることが難しくなります。

→レジリエンスが高いと
「確かに今回はミスをしてしまったけれど、この経験を次に生かしていけばいいや」と、物事を柔軟に考えることができるようになります。
このように、ネガティブな出来事があったとしても、物事を客観的に柔軟に考えることができ、次の行動へ生かしていくことができます。


これはまさに、レジリエンスが高いことによってもたらされる恩恵と言えます。

②就活で、なかなか思うような結果が出ないとき
・自分なりに精いっぱい就活しているのに、何社受けても、一つも内定がもらえない。

→レジリエンスが低いと
「やっぱり私はダメなんだ」「もう、どこにも受からないかも」「どうせ私なんか、社会から必要とされていないんだ」と、自己否定の感情に飲み込まれてしまい、精神的に立ち直ることが難しくなります。

→レジリエンスが高いと
「今回は、縁がなかったんだ」「違う選択肢にも目を向けてみよう」「私を必要としている会社はきっとあるはず」と、思考を柔軟に切り替えることができます。

このように、レジリエンスが高ければ、ネガティブな結果であっても、しなやかに柔軟に受け止めるこことができます。

そして再び、前に向かって行動することができるのです。


これはまさに、レジリエンスが高いことによってもたらされる恩恵と言えます。

レジリエンスは、高めることができます。

レジリエンスが高いと、物事を柔軟に受け止めながら、力強く前に進んでいくことができます。
まさに、不透明で不確実なこれからの時代を生きていく上で、なくてはならない力と言えますね。

それでは、どうすればレジリエンスを高めることができるのでしょう。
ここでは、誰もが今日から実践できる具体的な例を、3つ紹介します。

①思考や感情を紙に書き出して、心の中を整理しましょう。

仕事や学校や家庭などで、つらい出来事があったときに、「なんでこんなことになったのかな」「自分が悪かったのかな」など、ぐるぐる思考に陥ってしまうときがあります。

→そんなときは、思ったことや感じたことを、紙に書き出してみましょう。
いわゆるジャーナリングですね。
ジャーナリングをすることで、レジリエンスを高めることができ、次のような効果が期待できます。


●書くことで頭の中が整理され、冷静さを取り戻すことができます。

●自分では気付かなった本音が、見えてくることがあります。

●感情や思考を「見える化」することで、自分自身を客観的に見ることができるようになります。

ジャーナリングは、5分から10分もあれば、行うことができます。
必要なのは、紙とペンだけです。
スマートフォンでも、大丈夫です。
さっそく、実践してみましょう。

②弱音をはける信頼できる人に、話を聞いてもらいましょう。

家族や友人などに、「実は今、ちょっとつらいことがあるんだ」と話を聞いてもらったことで、心が軽くなった経験は、誰にでもあると思います。

→話を共感的に聞いてもらうことで、レジリエンスを高めることができますし、次のような効果も期待できます。

●話を共感しながら聴いてもらったり、自分のことを受け止めてもらったりすることで、精神的な安心感を得ることができ、再び起き上がることができます。

●「自分はひとりぼっちじゃない。理解してくれる人がいるんだ」ということを実感することができ、再び前に向かって進んでいく力が湧いてきます。

●話を聞いてもらうことで、自分では気付けなかった視点を得られることがあります。
それは、柔軟に考える力を高めていくことにつながります。


③小さな成功体験を積んでいきましょう。

「今日は10分間、散歩することができた」
「きちんと朝ご飯を作って、食べてから仕事へ向かうことができた」
「いつもより、10分早く職場に着くことができた」
「今日のToDoリストを、やり終えることができた」
「少しだけど、資格試験の勉強をすることができた」
「いつもより30分早く、ベッドに入ることができた」

→一見ささいに思えることでも、「できた」という成功体験を積み重ねていくことで、自分に自信がもてるようになりますし、それがレジリエンスを高めることにつながります。
また次のような効果も期待できます。


●小さな成功体験を積み重ねていくことで、自信を高めていくことができ、それが新たな挑戦へと向かっていく力となります。

●「成功体験→達成感→次の行動」という好ましい循環が生まれ、力強く生きていくことができます。


いかがでしたでしょうか。
今回は、これからの時代を、自分らしくしなやかに生きるための5つ目のちからとして、「レジリエンス」を取り上げました。

レジリエンスは生まれつきのものではなく、日々の生活の中で、少しずつ高めていくものです。
「心の筋力」と言いかえてもいいでしょう。


心の筋力ですから、意識して、少しずつ高めていく必要があるのです。
そう、筋トレと同じです。


さあ今日から、できることから少しずつ、レジリエンスを高めていきましょう。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。