これからの時代を自分らしくしなやかに生きるための9つ目のちから―「セルフコンパッション」―

生活に役立つ心理学

これからの時代を自分らしく、しなやかに生きるための9つ目の力として、今回は「セルフコンパッション」を取り上げます。

私たちは、家族や友人など大切な人が落ち込んでいたら、「大丈夫だよ」「頑張ったね」 と優しく声をかけて、励ましてあげますよね。

セルフコンパッションとは、大切な人に接するのと同じように、自分自身にも優しさや思いやりを持って接することを言います。

これは簡単なことと思われるかもしれませんが、実践するにはそれなりのコツがいります。
今回は一緒に、セルフコンパッションについて学んでいきましょう。

セルフコンパッションには、どんな効果があるのでしょう。

私たちはセルフコンパッションを実践することで、以下のような効果を得ることが期待できます。

①心の健康が向上します。
失敗したり困難に直面したりしたときに、自分を厳しく責めてしまったことはありませんか。
「なぜ自分は、こんなにもダメなんだろう」「もっとしっかりと、できたはずなのに」と自分を責めてしまった経験は、誰にでもあると思います。

しかし、このような自己批判を繰り返してしまうと、不安や後悔、抑うつといったネガティブな感情が増幅されてしまうのです。
そうなると、自身の心の健康が著しく損なわてしまいます。

→セルフコンパッションを実践すると、このような自己批判を「自分への優しさ」に置き換えることができます。
自分に優しく接することで、ストレスホルモンの分泌が抑えられ、心身がリラックスして、ネガティブな感情に支配されにくくなるのです。
これは、セルフコンパッションを実践する大きな効果と言えます。

②孤独感や劣等感が軽減されます。
困難に直面すると私たちは、「こんなに苦しんでいるのは自分だけ」「私はみんなより劣っている」と感じてしまうことがあります。
すると、孤独感や劣等感が高まってしまい、さらに苦しみが増幅されてしまいます。
このような状況が続くと、やはり、心身の健康を損ねてしまうのです。

→セルフコンパッションを実践すると、「人は誰でも失敗したり、辛い経験をしたりするものだ」と考えることができるようになります。
これにより、「完璧な人はいない」「自分だけが特別に悪いわけではない」という視点をもつことができ、孤独感や劣等感を和らげることができます。
こうして、他者とのつながりを感じることができるようになると、心理的にも安定してくるのです。
これも、セルフコンパッションを実践することの大きな効果と言えます。

③ネガティブな感情に囚われにくくなります。
→セルフコンパッションを実践することで、自分の感情や思考を、ただありのままに観察することができるようになります。
すると、ネガティブな感情が湧いてきたとしても、それに飲み込まれてしまうのではなく、「今、自分は、こんな気持ちを感じているんだな」と客観的に気付くことができます。
これにより、ネガティブ感情に振り回されることなく、自分の心の状態を冷静に把握して、適切に対処する力が高まっていくのです。
これもまた、セルフコンパッションを実践する大きな効果と言えます。

レジリエンス(精神的な回復力)が高まります。
→セルフコンパッションを実践すると、失敗を自分自身を責める材料にするのではなく、学びや成長の機会として捉えるように助けてくれます。
自分に優しく、非難せずに接することで、失敗しても自己肯定感が損なわれにくくなり、再び挑戦しようとする意欲や、困難から立ち直るレジリエンスが高まります。
これも、セルフコンパッションを実践する大きな効果です。

⑤自己肯定感や幸福感が向上します。
→セルフコンパッションを実践すると、自分の欠点や弱さも含めて、ありのままの自分を受け入れられるようになります。
これは、安定した自己肯定感につながっていきます。

また、自分自身に優しくなることで、ネガティブな思考パターンが減り、ポジティブな感情を感じやすくなります。
セルフコンパッションが高い人は、不安や抑うつが低く、幸福感や人生の満足度が高くなると言われています。

これも、セルフコンパッションを実践する大きな効果と言えます。

日常生活で実践できるセルフコンパッションを紹介します。

セルフコンパッションは、日常生活の中で意識して取り入れることができます。
以下にいくつか実践例を示したいと思います。

①自分へ優しい言葉をかけてあげましょう。
失敗したときや、気分が落ち込んでしまったときは、「ドンマイ!」「誰にでもあることだよ」「次があるさ」など、友人にかけるような優しい言葉を、自分にもかけてあげましょう。
これは、意識をすれば、すぐに実践することができます。
今日から、早速実践していきましょう。
きっと、大きな効果を感じることができます。

②自分を優しく包み込んであげましょう。
ストレスを感じたときは、自分の胸に手を当てたり、腕を優しくさすったり、自分を優しく抱きしめてあげたりしましょう。
心が落ち着き、安心感を得ることができます。
これも、とても効果が高いので、お勧めの方法です。

③ジャーナリングをしましょう。
ジャーナリングは、書く瞑想と言われています。
自分の感情や思考を、ありのままにノートなどに書き出してみましょう。
書き出すことで、自分の気持ちを客観的に見つめることができ、気持ちを整理することができます。
ジャーナリングも効果が高いので、とてもお勧めの方法です。
今日から、さっそく始められそうですね。

いかかでしたでしょうか。
今回は、これからの時代を自分らしくしなやかに生きるための9つ目の力として、セルフコンパッションを取り上げました。

セルフコンパッションは、自己批判という心の負担を減らして、誰もが不完全な存在であるという認識を通して、孤独感を和らげたり、感情を客観的に観察したりする力を高めます。
これにより、ストレスが軽減され、レジリエンスも高まります。
結果として、心の健康が向上していくのです。

自分自身に対する思いやりは、私たちが困難を乗り越えて、より健やかに生きるための協力なツールだと言えます。
まさに、先行き不透明感なこれからの時代を自分らしく生きる上で、なくてはならない力です。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。