感情的知性(EI)を高めるには?

生活に役立つ心理学

EI(Emotional Intelligence)感情的知性について誠信心理学辞典には、「感情的知性とは自分の情動を認識したり、他人の情動を理解したり、自分の情動を制御したりする能力」と記載されています。
つまり、自分や相手の感情を理解したり、自分の感情をコントロールする能力ということになります。
ここで、EIと比べられる言葉としてIQ(Intelligence Quotient)知能指数がありますので、IQについて少し説明します。
知能指数とは、記憶力、推理力、判断力、問題解決能力など、幅広い認知能力のことを言います。
そして、IQ(知能指数)が高い人は頭が良い人と捉えるのが一般的ですよね。
確かに、今までも、またこれからの時代を生きていく上でも、IQは大切な能力と言えます。
しかし、IQがいくら優れていても、感情的知性が低かったとしたら、どうでしょうか。
おそらく、幸せな人生を歩むことは難しいのではないでしょうか。
なぜなら感情的知性は、人間関係を適切に構築していく上で、なくてはならない力だからです。
仮にIQが高かったとしても、感情的知性が低かったとしたら、自分や相手の感情を理解したり、自分の感情をコントロールすることが思うようにできません。
その結果、人間関係を適切に構築していくことが難しくなるでしょう。
このように感情的知性は、充実した幸せな人生を歩んでいく上で、とても大切な力であると言えます。
では、感情的知性はどのようにすれば、高めていくことができるのでしょう。
そこで今回は、感情的知性を高める手立てについて考えてみたいと思います。

自己理解力を高めましょう。

①日記を書きましょう。
1日を振り返って、その日あった印象に残る出来事を、日記として記録していきます。
その際、その出来事を経験したときの感情についても、記録するようにします。
さらに、どうしてその感情が湧き上がってきたのかという原因についても、記録するようにします。
この習慣を続けていくことで、自分はどのような場面でどのような感情を抱きやすいのかを認識することができるようになります。
つまり、自分のことをより深く理解することができるようになるということですね。

②自分自身と向き合う時間を作りましょう。
静かな場所で、自分自身と向き合う時間をもつようにします。
今この瞬間に集中しながら、どんな感情が浮かんでくるのか、観察するようにします。
そして、浮かんでくる感情を、ただそのままにしておきます。
これを繰り返すことで、自分の感情の流れや変化に気付く力を高めることができます。

③周りの人に、自分のことを聞いてみましょう。
自分のことは分かっているつもりでいても、意外と自分のことは分からないものです。
そこで、家族や友人など自分のことをよく理解している人に、客観的な意見を求めてみましょう。
的外れなことを言う人もいるかもしれませんが、中には、はっとさせられる意見があるかもしれません。
これも、自己理解を深めていく上で、効果的な方法と言えます。

他者を理解する力を高めましょう。

①共感力を高めましょう。
共感力とは、相手の立場になって考え、相手の気持ちを理解する力です。
共感力を高めるには、相手の立場になって話をじっくりと聞いたり、相手はどんな気持ちだったのだろうと想像したりするように心がけていくことが必要です。
普段からそのように心がけながら人と接することで、少しずつ共感力を高めることができるようになります。
このように共感力は、実際に人と関わることで高めることができますが、それ以外にも高める方法があります。
例えば、登場人物の気持ちを想像しながら映画やドラマを見たり、小説を読んだりすることも、共感力を高める良い練習になります。

②様々な価値観を、受け入れるようにしましょう。

人はそれぞれ、独自の価値観をもって生活しています。
同じような価値観の人なら良いですが、時には、自分とはかけ離れた価値観の人と関わらなければならないこともあるでしょう。
そんなときでも、相手の価値観を受け入れることができれば、相手のことを理解することができます。
そもそも、価値観が違うから理解することができないという考え方では、共感することもできませんよね。
このように、価値観が違う相手であっても、それを受け入れることで、相手への理解を深めることができるのです。
もちろん、どんな価値観でも受け入れるということではありません。
中にはどうしても相いれない価値観も、ありますよね。

自分の感情をコントロールしましょう。

自分の感情をコントロールする力は、とても大切です。
感情をコントロールすることができなければ、他者との関係を良好に保つことはできません。
感情をコントロールする方法としては、いくつか考えられます。

①深呼吸をする。
ストレスを感じたときに、深呼吸をすることで心を落ち着かせた経験は、誰にでもあると思います。
深呼吸には、交感神経優位の状態を副交感神経優位の状態に戻す効果があります。
深呼吸は手軽にできて、効果も期待できるので、普段から習慣づけておくと良いですね。

②リラックスする時間をもちましょう。
人は誰でもその人なりのリラックス法をもっていますが、これも日頃から実践することが大切です。
忙しさにかまけて心身をリラックスする時間をもたないでいると、ストレスがどんどん溜まっていってしまいます。
リラックスする時間をもつことは、自分の感情をコントロールする力を高める上でも、とても重要です。
お風呂に入ったり、横になって軽い睡眠をとったり、好きな音楽を聴いたり、好きな楽器を演奏したり、自然と触れ合ったり、軽い運動をしたり、好きな映画やドラマを見たり、好きな本を読んだりと、様々なリラックス法がありますが、要は自分にあったリラックス法を行うことが大切であるということですね。

③感情を表現しましょう。
私達は普段の生活の中で、どうしても感情を抑え込まなければならない場面があります。
対人関係を円滑に進めていくために、それは、致し方のないことではあります。
しかし、感情を抑え込んでばかりいるのは、やはり健全なことではありません。
ときには、抑え込むことなく思うままに感情を表現することが大切です。
心を許せる人に本音を聞いてもらったり、話せる相手がいなければ、日記や手帳などに書き出すことも有効な手立てとなります。

いかかでしたでしょうか。
今回は、感情的知性を高める手立てについて考えてみました。
感情的知性は、充実した幸せな人生を歩んでいく上で、とても大切な力です。
しかし、感情的知性を高めると言っても、一朝一夕にできるものではありません。
自分にあった方法を見付けて、無理なく継続していくことが必要です。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。