映画やドラマを観ることで高まる力とは?

生活に役立つ心理学

皆さんは映画やテレビドラマを観ているときに、どんなことを感じながら観ていますか。
中には、「ただの娯楽」とか「暇つぶし」とか思いながら観ている方も、いらっしゃるかも知れませんね。

実は、何気なく観ているその時間が、私たちの心や頭を鍛える大切な機会になっているんです!

そこで、今回は、「映画やドラマを観ることで高まる力とは?」というテーマについて、考えてみたいと思います。

共感力が高まります。

映画やドラマの登場人物に感情移入することで、「もし自分がこの人の立場だったら?」と考える力が養われます。
心理学ではこれは、共感力(エンパシー)と呼ばれます。

共感力とは、他人の気持ちや感情を理解して、その気持ちや感情に寄り添ったり、相手の立場になって考え、同じように感じることができる能力です。

共感力は、私たちが好ましい対人関係を築き上げていくうえで、欠かせない力です。
もし、私たちに共感力が備わっていなかったらと想像したら、ぞっとしますよね。

共感力は社会生活を営んでいくことで自然と高まっていきますが、ストーリーが劇的に、感動的に進行していく映画やドラマを観ることで、共感力をぐーんと高めていくことが期待できます。

私も大好きな「タイタニック」を例にとってみましょう。
極限状態に置かれたときの人間の姿が様々な人物の視点から描かれますが、私はとくに主人公ジャックの言動に深い感銘と共感を覚えました。
自らの命を犠牲にしてでもローズを守ろうとする姿に、深く心を揺さぶられたことを、昨日のことのように覚えています。

「もし、自分がジャックだったら、どうしただろうか?」
「同じように行動できるだろうか?」
これは、まさに共感ですよね。


極限状況が描かれている映画での出来事だからこそ、共感力が磨かれるのです。

ストレスに対する耐性がつきます。

スリル満点の映画やドラマを観ると、ハラハラドキドキしますよね。
実はこれは、疑似体験の一種なんです。

私たちは、ストレスがかかる状況を安全な環境にいながら疑似体験することで、実際のストレスにも強くなれると言われているんです。

例えば、こんな感じです。

①サスペンス映画で、「このやばい状況をどうやって乗り越えるの?」とドキドキしながら観た後で、日常生活のちょっとしたトラブルが大したことじゃないなと思えた経験はありませんか?

②主人公が絶体絶命のピンチを乗り越える姿を観て、自分も頑張ろうと思えたことはありませんか?

③恋愛映画を通して、恋愛のすれ違いや別れの痛みを疑似体験することで、自分自身の恋愛の痛みが和らいだことはありませんか?

④主人公があまりに理不尽な扱いを受けていても、それでも負けない姿を観ていて、自分も負けないぞと思ったことはありませんか?

このように映画やドラマを通して様々な疑似体験を重ねることで、現実社会でも、ストレスに負けずに冷静に対処する力を高めていくことができます。

創造力がアップします。

SF映画やファンタジー映画を観ると、普段では考えもしないような世界観に触れることができますよね。
これが私たちの「拡散的思考」を刺激して、創造力やアイデアを生み出す力を高めてくれます。


拡散的思考とは、既存の枠にとらわれずに、自由な発想で多様なアイデアや解決策を広げていく思考法のことを言います。

映画「マトリックス」は現実だと思っていた世界が仮想現実であるという設定でしたが、この映画を観終えたときに、「私たちが生きているこの世界も、実は仮想現実なのかな?」と考えませんでしたか?

映画「スターウォーズ」では、フォースという概念や多種多様な異星人が登場しましたが、観終えたときに、宇宙に広がる無限の可能性や、多様な価値観について思いをはせませんでしたか?

映画「千と千尋の神隠し」は人間が異世界に迷い込んでしまい、不思議な生物やルールの中で生きる物語でしたが、「もし自分がこんな世界に入ったら?」と想像をふくらませませんでしたか?

このように、SF映画やファンタジー映画を観ることで、拡散的思考が刺激されて、創造力やアイデアを生み出す力を高めることができます。

自己理解が深まります。

登場人物の言動や感情に自分を重ね合わせることで、自分自身の内面に気付くことができます。

例えば、映画やドラマの主人公が仕事で悩んでいる姿を見て、「自分も同じように悩んでいるな」と気付くことありませんか。

自分の本当の気持ちに気付くことができます。

例えば、映画やドラマのある場面を見ていたら、自然と涙があふれてきたことはありませんか。
そんなとき私たちは、普段は意識していなかったけれど、自分が思っていた以上に心が傷付いていたことに気付いたのかもしれません。


登場人物の視点を通して、自分の人間関係のパターンを見直すことができます。

例えば、主人公が、「友人と距離を置くことも時には必要だよ」と言われる場面があったとします。
そのシーンを観ていて、そう言えば私も、友人と無理して付き合っていたなと気付かされるようなことがありますよね。


このように映画やドラマを観ることで、自分自身の内面に気付き、自己理解を深めることができるのです。

いかがでしたでしょうか。
今回は、「映画やドラマを観ることで高まる力とは?」というテーマについて考えてみました。

ふだん何気なく観ている映画やドラマにも、こんなに素晴らしい効果があるんですね。
「ただの娯楽」と思うことなく、これからも、様々な作品を楽しんでいきたいものですね。
観終わった後の自分が、少し成長していることを楽しみにしながら!