自分軸を見付けるには。

生活に役立つ心理学

皆さんは、自分軸という言葉を耳にしたことがあると思います。
では、自分軸とは一体何でしょうか。
自分軸とは、大辞林には「他人の評価を気にせず、自分自身の意志を大切にする考え方」とあります。

仮に、人をコマにたとえるとしたら、自分軸とはまさにコマの中心に刺さっている心棒のようなものだと言えます。
心棒がコマの中心にしっかりと刺さっているから、コマは揺れることなく安定して回り続けることができます。
もし、心棒がコマの中心にしっかり刺さっていなかったら、コマは安定せずにフラフラと揺れてしまい、じきに止まってしまうでしょう。

私達は長い人生を安定して歩んでいくために、自分の中心に、コマの心棒ともいえるような自分自身の軸をしっかりと持つことが大切なのです。
その軸とは、自身が大切にしたい理念や価値観であったり、少々のことではひるまない意志の力であったりします。
揺るぎない自分軸をもつことで私達は、人生を悠々と力強く生きていくことができるのです。

長い人生を歩んでいく途上で私達は、様々な困難に立ち向かっていかなければなりません。
時には、大きな挫折を味わうこともあるでしょう。
しかし、たとえどんなに大きな困難にぶち当たったとしても、自身の軸となるしっかりとした意志の力や理念や価値観があれば、私達はどんな困難も乗り越えていくことができます。
具体的には、より望ましい対処法を考えて試みてみたり、重要な選択を迫られたときに正しい道を選択したりするなどの形で、乗り越えていきます。 
今回は自分軸を見付けるにはどうしたら良いのかについて、考えてみたいと思います。

自分軸を見付けて、自分の中に定めよう。

 充実した人生を送る上で、自分軸をしっかり意識しながら生きることが重要であることは、前段で述べた通りです。
では、どうすれば自分軸を見付けて、自分の中にしっかりと定めることができるのでしょうか。
いくつか考えてみたいと思います。

①自分の強みを考えてみましょう。
自分のこれまでの人生を振り返ってみて、興味をもって夢中になって取り組んだことは何だったのか、リストアップしてみます。
例えば、本を読むことが好きで、読み始めると時間が経つのも忘れて夢中になって読んでいたのなら、きっと文章を読んだり、読みながら色々と思考を巡らせることが強みだと言えます。
例えば、困っている人がいると放っておくことができなくて、悩みを聞いてあげたり、相談に乗ってあげたりしてきた人であれば、人を思いやり手を差し伸べることができるということが強みでしょう。
例えば、魚が好きで、夢中になって魚の図鑑を読んだり、丸一日水族館でずっと魚を見ていたとしたら、じっくりと観察することができるということが強みと言えるでしょう。
このように、自分としては苦もなく自然とできてしまい、夢中になって取り組んでしまうことが強みと言えます。
このように強みは、自分軸を見付けて定める上で見落とせない要素の一つになります。

②自分の価値観を明確にしてみましょう。
生きていく上で自分が大切にしたいことを、リストアップしてみましょう。
例えば、「家族と過ごす時間を大切にしたい」「仕事で成果を出したい」「日々、自己成長をしたい」 「音楽で人の心を温かくしたい」「困っている人に、優しく手を差し伸べてあげたい」「自分の興味をもった学問を究めたい」「感謝の気持ちをもって、人と接したい」「思いやりの心をもって、人と関わりたい」など、これらはどれもそのまま、自分が大切にしたい価値観ということになります。
私達は、自ら大切にしたい価値に沿って生きているとき、心が充実感で満たされます。
なぜなら、価値とは自分が一番大切にしたいものであり、価値は自分がしたいと思って行動している行為そのものに含まれているからです。
私達は価値に沿って行動しているとき、まさに幸福感に満たされていると言えます。
このように、自分が大切にしたい価値観をリストアップして明確にすることは、自分軸を見付ける上で極めて重要なステップと言えます。

③自分の感情を大切にしましょう。
自分の感情を無視しないで、尊重することが大切です。
例えば、本当はやりたくなかったのに、頼まれたから仕方なく渋々やっていたとしたらどうでしょうか。
それは自分の気持ちに従って行動していませんよね。
このような状況が続いてしまうと、自分の感情が傷付いてしまいますし、充実感や幸福感を得ることもできなくなってしまいます。
自分軸で生きる上で、自分の感情を尊重することはとても大切です。

④他人の評価や反応に左右されないようにしましょう。
何か行動する度に、他人の評価や反応をうかがっていたら、どうなるでしょうか。
他人の評価や反応ばかり気にしていると、いつしか自分の基準で行動することができなくなってしまいます。
そうなると、自分の言動に自信がもてなくなり、自分の意志で行動している実感も薄れてしまうでしょう。
これではとても、充実した人生を送っているとは言い難いです。
他人の評価ではなく、自分の基準で行動して、自分で評価することが大切です。
自分軸で生きる上で、自分の基準で行動する習慣を身に付けることは、とても重要だと言えます。

⑤自分で決断する習慣を身に付けましょう。 
どんな小さなことでも、自分で決断することが大切です。
小さなことを自分で決断する習慣を積み重ねていくことで自信も付きますし、やがて大きな決断も自信をもって行うことができるようになっていきます。
自分軸で生きていく上で、自分で決断することは極めて重要です。
もし、他人に決めてもらってばかりいたら、自分の人生を自分の足で歩んでいるとは、言い難いのではないでしょうか。

⑥他人の問題に過度に関わることをやめましょう。
私達は日々の生活の中で、大小様々な問題を抱えながら生きています。
もちろん、その中には人間関係も含まれます。
ときには職場や学校や家庭などで、人間関係にヒビが入ってしまうこともあるでしょう。
そうなると私達は、関係改善のために色々と悩だんり、相手が自分をどう思っているのかあれこれと考えたりしてしまいます。
もちろん、関係を改善するために話し合うことは大切ですが、相手の気持ちを正確に理解することは容易ではありません。
自分の気持ちを相手に伝えることはできますが、それに対して相手がどう思うかは相手が決めることであり、自分ではどうすることもできません。
このように自分ではどうすることもできない問題に対して、大切な時間や感情やエネルギーを浪費してしまうのは、とても勿体ないことです。
その分、自分のために時間やエネルギーを使うことが、自分軸で生きる上でとても大切だと言えます。

⑦成功体験を積んでいきましょう。
どんな小さなことでも構いません。
自分で決めて、自分で行動した結果として得られた成功体験を、どんどん積み重ねていきましょう。
「ちりも積もれば山となる」です。
小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな成功体験を生み、揺るぎない自信へと繋がっていきます。
これはまさに、自分軸で生きている姿そのものと言えるでしょう。

いかがでしたか。
自分軸を見付けるにはどうそれば良いのかについて、いくつかの観点から考えてみました。
これまで述べたことを実践することで、自分軸を見付けて、より充実した幸福感に満ちた人生を生きることができるようになると思っています。
自分軸を見付けて、それを自身の真ん中にどっしりと定めることは、そう簡単にできることではありません。
しかし、一度きりの人生です。
同じ人生を生きるなら、少しもブレずに回り続けるコマのように、潔く、気持ちよく回り続けたいものです。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。